名古屋グランパスのGK 楢崎正剛選手が昨日のレイソル戦で600試合を達成しました。
しかもこれはJ1リーグだけの記録で、カップ戦を入れたら700試合を越えてきます。
※詳しくはWikiを参照
ただただ「すごい」の一言です。
楢崎選手は現在プロ生活21年目を迎えています。
600試合を達成するためには、単純計算で毎年約29試合出場を続けてきたということになります。
たったひとつの枠しかないポジションを21年守り続けることの難しさは語るに及ばないでしょう。
プロの世界ですからライバルのレベルも高いですし、下からの突き上げだって大きい。大きな怪我がないように自己管理を行うことはもちろん、日々のトレーニングを妥協なく行ってきたからこその結果だと思います。
総失点数は「829」
600試合も出ていれば、どうしても失点数は増えます。積み上げてきた失点は「829」。
この数字はリーグ最多とのことです。
楢崎選手が6年くらい前に書いた著書「失点」は読んだことがあるでしょうか?
この本には楢崎選手が代表、リーグ戦、カップ戦全ての失点といかに向き合い、どう折り合いをつけていったのかが記してあります。
この本のあとがきに象徴的な言葉あります。
人生もサッカーも、失点しないで前に進むことなど、ありえない。
失点したからこそ、その先に進める。
誰よりも失点の怖さ、意味を理解しているからこそ言える言葉です。
この言葉の通りとするならば、彼は、この600試合を達成する中で829回も前に進んできたことになります。カップ戦、代表戦を加えればおそらく1000を超えるのではないでしょうか。
それだけ、他のどのGKよりも前に進んできた偉大なGKなのです。
失点も最多だが、無失点も最多
GKは、それがGKだけの責任とはいえないケースが多いとはいえ、どうしても「失点がフォーカスされる」ポジションです。
特に日本ではニュースで取り上げられるのは得点シーンが多く、セービングシーンが特集されることはごくごく稀です。
楢崎選手も重ねた失点の数が数ですから、被弾しているのが楢崎選手というシーンは必然的に多くなります。
しかし、その影で積み上げてきた無失点試合の数は「156」。
出場した試合の2割6分で失点をしていないのです。チームメイトの協力が不可欠とはいえ、この数字はすばらしいもので、当然リーグ1の数字です。
これだけの数、少なくとも1点取れば勝てる試合を作ってきたのですから、チームメイトの感謝たるや足を向けて寝ることはもはやできますまい。
もっといえば、失点した試合でも、失点せずに食い止めた数というのは1000をゆうに超えるはずです。
※ソースはないが…
失点にへこむGKは楢崎に学ぶべし
ぼくもそうでしたが、失点すると大なり小なりへこみます。メンタルに課題がある選手だと余計にその傾向は強くなるでしょう。
まして、自分のミスで失点した日には、後ろからのコーチングの声が激減するという悪循環に…
心当たりありませんか…?
そうは言っても、楢崎選手の言うとおり、GKにとって失点は避けては通れません。避けたければGKをやめるしかありません。
失点やミスといかに向き合い、乗り越えていくかは全GKの永遠の課題といっても過言ではないでしょう。
であるならば、日本で誰に学ぶかっていったら楢崎選手がその筆頭なわけでして、つまりは「彼の書いた本を読んでみろ一回」ということ。
代表的なところでいくと、覚えている人も多いであろう「サンドニの悲劇」。
フランスに0-5でフルボッコにされたあの試合で楢崎選手はミスによる失点を献上し、かなりの期間引きずったそうです。
そこからどう立ち直ってきたのか、詳細がつづられています。
失点からいかに立ち直るのか、そもそも失点をどう捕らえるのか…
こういうところを突き詰めて考えてきたからこその600試合出場と、それに付随するさまざまな偉業につながっているのだと思います。
楢崎選手、覚悟の言葉
僕がすべてのシュートを防ぐことができれば、試合に負けることはない。
常にそういう使命感のもとでピッチに立っている。
当たり前のプレーがしっかりとできるゴールキーパーでありたいと昔も今も考えている。
足の置く位置が数センチ違うだけで、飛ぶ距離や角度が変わる。
だからこそ、身体の使い方、フォームへの意識など、基礎となる部分は、若い頃から繰り返しトレーニングしてきた。
どこにどんな風に立ち、シュートを待つかによって、ゴールを守る質が変わってくるのだ
ちなみに、「簡単そうに見える」ようにプレーをこなすことは、実は意外に難しい。
堂々とした態度がチームメイトに安心感を与え、相手に威圧感を与えるということも知った。
ミスは、即、「失点」に結びつく。安定した精神状態を維持してプレーすることが、誰よりも求められるポジションなのだ。
ミスをして、人は学ぶ
僕も、ミスをしながら学んできた。ミスをしたら、次の練習で、ミスをした場面をシミュレーションしながら、同じ過ちを繰り返さないようにトレーニングすることで、挽回してきた。
恐怖を知れば、覚悟が生まれる。この覚悟が、責任を呼ぶ。
「待つ」ことは決して消極的なことでも受け身でもなく、「静かなる攻撃」だと僕は思っている。
Jリーグと同じ感覚で世界の舞台では戦えない。
「失敗を引きずらない責任」がゴールキーパーには必須のもの
失点はすべて自分の責任と考える。
失点はゴールキーパーがどうにか防げるものだと考えている。そう考えた方が面白い。
ゴールキーパーの酸いも甘いも知っているからこそ、彼の言葉には説得力と勇気を与える力があるなと読んでいて思えてくる一冊です。
600試合とカップ戦、代表戦と誰よりも試合に出続けてきたからこそ言える言葉だよなーと。
まとめ
楢崎選手は今年で40歳になります。
まだまだできるとご本人もどこかで言ってましたし、僕も客観的に見てもまだまだ日本のトップレベルにあると思います。
まだまだ、僕たちを魅了してくれるに違いありません。
600試合出場に敬意を表すとともに、これからの活躍にも期待しています。
今回は以上!
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