僕はゴールキーパーを始めてから何年も経っていて、学生時代はそれなりに本気でやっていた人間でした。
自身の高校時代の最高成績は千葉県でベスト16でした。
大学はサークルだったけれど、全国を経験した猛者が集まるようなところで、かなりレベルの高いサッカーを経験させてもらったと思うし、その環境で置いて行かれない為に、努力もそれなりに積んできました。
が、努力でどうにもならなかったものがあります。
それが身長です。
僕は171cmなので、GKをやる者としてはだいぶ小さいし、かなりの不利を強いられました。
それは、僕個人の評価だけでなく、チームにも影響があったのは残念ながら事実です。
だから、背の高いGKは今でも羨ましく思うことがあります。
シュミット・ダニエル選手の魅力
昨日のベネズエラ戦で仙台のシュミットダニエル選手がA代表デビューを飾りました。
特徴は、やはり今までの日本人GKにはなかなか無かった圧倒的な高さですよね。
もう、本当に羨ましい体格です。
世界で活躍するGKを比べても、全く引けをとらないのは本当に魅力です。
技術をさらに磨いてもらって、あわよくばどこかの海外リーグに挑戦してみて欲しいです。
我が軍の中村航輔が代表でスタメンを勝ち取る為には、文字通り高い壁になる選手だと思います。
困ったことが無いは本当か
さて、そんなデビュー戦の翌日、吉田選手のこの発言が一部の人を刺激したようです。
一体何が問題発言なのか?というところなのですが、「身長が低いGKでも他を伸ばせばもっとやれる。失礼」というが主旨でした。
そもそも、吉田選手の発言はGKへの言及ではなくて、CBも含めたチーム全体の高さへの言及なので、その時点で国語的に読み違えています。
ここまでなら「まあ、Twitterだな」で終わるのですが、以下の件にはちょっと言及せざるを得ないと思ったので、晒すような真似して申し訳ないのですが引用します。
川島や西川の背が低いせいで困ったことって実はほとんど無い。
もちろん長身の方が威圧感があるし、ハイボールにも強い。一流ゴールキーパーの多くは190cmを超えているのも事実。
ただ、デカけりゃ良いもんでもないし、身長のハンデは技術力でカバーできる。
カシージャスやナバスを知らないのかと。— 蓮 (@ha_suuuuuu) 2018年11月17日
ふむ。言いたいことはわかるけれど、残念ながら、「困ったことがない」ということは無い。
もちろん、本人や関わってきた周りが「困った」と捉えていたかは話が別だけど、客観的にみて、身長が低いがゆえに、戦術的にやることがチームとして変えることを余儀なくされるのであれば、それは「困ったことがあるから解決策を考える」というアプローチといえます。
それは、その選手がダメとか、能力に問題があるということではなく。
GKの身長についたら、セットプレーに関しては、高いほうが絶対的にいいよ。身長低いとCBや他の選手の高さに依存することになる。キャッチングの選択肢を取れる場面で、キャッチングしにいけない。スタンダール時代の川島は結構苦労してた。
— シェフケンゴ🇧🇪🇨🇩 (@shevkengo) 2018年11月17日
このように、高さがあれば「出て、さらにキャッチ」という選択肢を選ぶことが可能なところ、低いと「良くてパンチ」となります。キャッチに行ったらリスクなので。
例えば、ノイアーがキャッチしているからといって、背が低いGKにとってキャッチに行くのが正解とは限らず、パンチングで跳ね返すかそもそも出ないという判断になることもあります。
こういう時に、「ノイアーならキャッチしてる」とかの指摘が、まず100%出てくるんですけど、身長が低いことは考慮されません。
もう、このことが「困ってる」ことを物語ってます。
つまり、背が低いGKにとっての正解は、時としてチームにはリスクだし、次の展開を見据えた時にチャンス逸にもなってる可能性があるのです。
身長に関しては、自分で努力のしようが無いので、これはもう仕方ないことですが、「困ったことが無い」ということは無いのです。
小さいのはだめ?
だからといって、小さいからだめということにはもちろんなりません。
件のツイートにもあるように、カシージャスやナバスのような「例外」もまた存在するからです。中村航輔もかなりの勝ち点を稼いでくれています。
ただ、忘れてはならないポイントが2点あります。
・高さは他のチームメイトが補っている(か、補なくて弱点化している)
・背が高いGK以上に努力しないといけないことは多い
ということ。
まず、やはり高さが無いのは狙われることになる。
これで失点していないのだとしたら、CBが誰か?も見ないといけません。その選手が、足りない高さを補っている可能性は否定しきれません。
それか、湘南ベルマーレの坂選手のように、小さくても空中戦絶対負けないマンになる他ない。
そこで、論点は「背が高いGK以上に努力しないといけないことは多い」ということになります。
小さいGKはでかい選手の倍以上の努力は必須
かつて、ハリルホジッチもGKには高さがないと話にならないみたいなことを言って、盛大に炎上していましたね。
メディアによって言葉の切り方が違うので、色々見極める必要がある発言ではあったと思う。ただ、Twitterではそんなことはされないし、ハリルはアンチも多かったので…
ただ、意味合いとしては「小さくても良いけど、凄まじい量の努力は必要だ」ということでした。
これ「超普通」ですよね?
世界を見渡した時のごくごく普通の一般論です。
小さいGKは、やはりチームにとってリスクは大きくもなるので、近い実力なら、やはりでかいGKがスタメンになると思います。
そういう現実は認識しないと。
なので、でかいGKの何倍も努力する必要はやっぱりあるんです。
ネガティブとかポジティブとかじゃなくて。
ナバスにしてもカシージャスにしても、とんでもない努力をして輝かしいキャリアがあるはずで、安易に「そういうGKもいる」とかで片付かないのです。
まとめ
僕は、こういう記事も書いているし、自分も背が低かったから、低身長GKがだめだなんて全く思わない。
だけれども、困ったことがないと認識するのは、違う。それは逃げです。
弱点は弱点だし、困っているし、チームとして困ることだって出ていることは事実です。
そことは向き合った上で、自分に何ができるのかを突き詰めてトレーニングし、向上していかないと。味方とのコミュニケーションも大事です。
でかいから良いってもんでもないのは確かですが、小さいからって高さ不足に目をつぶってポジティブに考えれば良いというわけでもないのです。
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